住宅ローンの繰り上げ返済は、将来の金銭負担の軽減になりオススメです。
しかし、繰り上げ返済した方がいい場合としない方がいい場合があります。
なぜ、繰り上げ返済はお得なのか?
お得なのにしない方がいいって、どういうことなのか?
それらについて述べていきます。
住宅ローンの繰り上げ返済とは?
文字を見たままの意味です。
普段返済している金額とは、また別に任意の金額を繰り上げて返済することを言います。
そしめ繰り上げ返済には2つの種類があります。
1つ目は期間短縮型です。毎回の返済額は変わらないが、返済期間が短くなるタイプです。早く返済を終わらせたい方にオススメです。
期間短縮型は返済する時点から元金を減らして、その期間分の利息を軽減します。
もう1つは返済額軽減型です。期間は変わらないが、毎回の返済額が少なくなります。子どもの進学で毎月の生活費が増える場合は、この返済方法だと月々の返済額が少なくなるので生活に余裕が生まれます。
返済額軽減型は繰り上げ返済する時点から終了時点まで均等に割って元金を減らして、その分返済額と利息を軽減します。
利息軽減効果が高いのは、期間短縮型となります。
金融機関によっては、どちらかの方法しか設定されていなかったりします。
私が借りたろうきんは期間短縮型しか対応してませんでした・・・
繰り上げ返済のメリット
繰り上げ返済をすると、繰り上げ返済した分の金利を負担せずに済みます。
例として、利息軽減効果の高い期間短縮型で説明します。2019年1月に3000万円の住宅ローンを金利1%で35年ローンを借りた人が住宅ローン控除が終わった2030年1月に200万円の繰り上げ返済をした場合としなかった場合について見てみましょう
繰り上げ返済 | 返済総額 | 利息分 |
無 | 35,567,804 | 5,567,804 |
有 | 35,055,816 | 5,055,816 |
差額 | 511,988 | 511,988 |
200万円に対して約50万円も節約効果を発揮することができました。
同じ例で、返済時期を2040年にした場合は、下記表のとおりとなります。
繰り上げ返済 | 返済総額 | 利息分 |
無 | 35,567,804 | 5,567,804 |
有 | 35,292,112 | 5,292,112 |
差額 | 275,692 | 275,692 |
今回は、繰り上げ返済の金額は変わらないのに30万円弱の節約効果です。
この比較からわかることは同じ金額を繰り上げ返済しても、返済時期が違うと効果は違うということです。
つまり繰り上げ返済は、できるだけ早く行ったほうが効果が高いのです。
※繰り上げ返済には手数料がかかる場合もあります。手数料負けしないように気を付けましょう。
繰り上げ返済をしないほうがいい場合って?
繰り上げ返済のメリットと時期は早めにしたほう効果が高いことを説明しましたが、繰り上げ返済をしないほうがいい場合があります。
それは、以下の場合です。
・貯金が少ないとき
貯金が少ないときに無理に住宅ローンを繰り上げ返済をすると、手持ちのお金が増えません。
そうすると、車の購入や教育費等での出費がかさむときに金利が高いローンを借りなければいけないことや、諦めなければならないこともあります。
住宅ローンの金利分損しないために繰り上げ返済しているのに、金利の高いローンを借りてしまうと本末転倒です。
また子どもとの教育など、その時でしかできないこともあり、費用がないので諦めてしまうのは非常にもったいないことです。
繰り上げ返済は貯金がある程度貯まってから余剰資金で行うようにしましょう。
・住宅ローン控除の期間中
住宅ローン購入後、一定の期間は借入額の1%程度税金の還付を受けることができます。
ということは、金利が1%未満の場合繰り上げ返済をすることでトータルで見ると損することもあります。金利が1%以上の場合でも、現在の低金利では繰り上げ返済をした場合の効果が薄くなるためオススメしません。
お金がないから住宅ローンを借りている人が大半だとおもいます。
まずは、貯金を増やすことを優先しましょう。
ただし、住宅ローン控除を全額使いきれていない場合と外構・諸費用部分も借入している場合(その部分は住宅ローン控除の対象とならない)は、お金に余裕があれば繰り上げ返済してもいいと思います。
※住宅ローン控除は年によって制度が変わることもあります。最新の情報を確認しましょう。
・住宅ローン金利以上の資産運用ができる場合
住宅ローン金利は非常に低く設定されています。変動金利だと1%未満ですし、全期間固定金利でも1.5%前後です。
金融機関の定期預金では無理でも投資信託や株等であれば、これ以上の金利で運用することは比較的易しい部類となります。
自信があれば、繰り上げ返済よりも優先するべきです。
さいごに
住宅ローンの繰り上げ返済は、結局したほうがいいのかは個人によります。
金利や貯金の状態、資産運用の状態等様々な要因が関係するからです。
ただ、繰り上げ返済はノーリスクで大きな節約効果を発揮します。
定期預金で預けていても、それほど増えない現在では、返済時期にもよりますが充分な威力です。
実際、株や投資信託をする場合は元本割れのリスクを負うことになります。元本保証のものでは低金利の現在、繰り上げ返済以上の利率はありません。
貯金があって資産運用に不安がある人にとっては悪くない選択肢です。
また、金利が高い人の場合は繰り上げ返済よりも、借り換えをした方が安くなる可能性が高いです。
以上、参考なれば幸いです。